地方行政実務学会設立趣意書


 住民の福祉の向上と活力にあふれる地域の実現は、それぞれの自治体が地域のニーズに応えて、新しい政策を創造し続けていくことにかかっています。自治体は、これまで様々な課題に挑み、創意工夫により力強くこの期待に応えてきました。我々が今手にしている地方分権は、自治体のこのような挑戦の賜物です。
 しかし今、人口減少に伴う縮減社会を迎え、自治体は厳しい財政状況に加え業務の増加・多様化のなかで新政策に挑むゆとりが少なくなっています。職員数の削減と高齢化により、職員の研鑽の機会も減りつつあります。
 本学会は、このような自治体の状況に心を致し、自治体職員の経験をもつ研究者が集まり、ますます複雑になる自治体の諸課題に関し、多様な研究成果や政策法務、AI を活用した事務の効率化など、新しい手法を積極的に提供し、解決を模索する自治体と連携し、応援することをめざします。
 一方、このような厳しい環境の中にあって、少なからぬ自治体から国をリードする新しい政策への挑戦と成果が生まれています。自治体現場の斬新な、ときに常識を覆す取り組みは既存の理論に見直しを迫り、新しい理論の芽を生み出す源でもあります。我々は、このような地方分権の推進力を応援していきます。
 本学会は、自治体を応援し、連携する活動を通して実務から新たな方向性を学び、いち早く課題として研究し、現場にフィードバックするサイクルを作り上げることをめざします。