人口減少時代の自治体と職員を応援できる学会を

副理事長 礒崎初仁(中央大学、元神奈川県職員)

 研究者の世界は、若い時期に研究者を一生の職業と決め、難解な外国語文献を読み、長大な論文を書いて職を得ることが通常でした。しかし近年、自治体職員から大学教員等に転じる例が増えています。私たちが集めた情報だけでも、自治体職員(事務職)の経歴をもつ現職の大学教員は、60名を越えています。自治体実務で磨かれた知識と能力にはそれだけの価値があるということであり、日本の大学教育が実務・現場から遊離していたのでは成り立たないことを示していると思います。そんな経歴をもつ研究者が集まって、これからの自治体と現職の職員を応援したいという思いから、この学会が誕生しました。

 人口減少とAI化が進む中で、日本の自治体は多くの課題に直面する一方で、それを担うべき職員は減少を避けられません。その結果、自治体がめざすべき目標を見失い、職員が余裕をなくして受け身の仕事に閉じこもるなら、いい地域づくりはできません。この学会は、自治体出身の研究者と現職の職員がフラットな場で議論し合うことによって、理論と実務をつなぎ、指針なき時代を切り拓く場になることをめざしています。

 多くの方がこの旗の下に集まり、学び合い、自治体現場を支えていただくことを願っています。

*いそざき・はつひと。中央大学法学部教授、地方自治論・行政学専攻、愛媛県出身。1985年神奈川県入庁、2002年退職し現職。主な著作に『新版 ホーンブック地方自治』(共著、北樹出版、2020年)、『知事と権力』(東信堂、2017年)、『自治体政策法務講義(改訂版)』(第一法規出版、2018年)。