副理事長 西出 順郎(明治大学 元福井県職員)

 本学会も発足して早5年目に入った。本学会は、他の学会とは些か異なる趣旨、平たく言えば、「研究としての実務への貢献」を強く標榜し、入会条件もまた些か限定的で、自治体勤務の経験等が求められている。すなわち、うわべだけの、綺麗ごとを並べた結果の「設立趣意書」では決してないということだ。

 この5年を振り返れば、新型コロナの影響で設立記念シンポジウムは中止に追い込まれ、出鼻をくじかれたが、その後は会員の皆さまのおかげで、順調に年2回の大会を行うことができたと思う。企画委員会委員長として大会運営に携わってきたが、あらためてシンポジストの方々、報告者の皆さん、そして企画委員会委員の尽力に感謝を表したい。また、機関誌も定期的に発行され、実務にしっかりと腰を据えた学術論文等が公表されてきた。同じく学術委員会委員の皆さんにも感謝を表したい。

 しかし、今を安住し、均衡を是とするならば、本学会の未来はない。もちろん、社会が不要というのなら消えゆくのみ、延命措置などいらない。ただし、今のところは、まだまだ研究としての実務への貢献、実務に根差した研究の発展、「プラカデミシャン」(Pracademician = Practitioner + Academician)の養成には、未だ力及ばず、である。

 とはいえ、近年、毎年数名以上の自治体職員の方々が、研究者やコンサルタントの道を歩み始めている。制度的にその逆は難しそうだが、互いの交流は必ずや実務と研究の発展につながる。学会としても、またまだお手伝いすべきことがありそうだ。

 本会員の皆さまには、「会費の払い甲斐」(the Value For Membership-fee)を常に忘れずに、引き続き積極的に関与していってもらいたい。大会報告、論文投稿、決して躊躇する必要などない。本学会の諸活動は、皆さんを必ず暖かく迎えてくれる。活動へのコミットメントは、将来、皆さんが躍進するためのプロセス、背伸びを意識する必要など全くないのである。

 そして最後に、本学会入会に対して、少しでも興味を持って下さった方々は、すぐに入会手続きに進んでほしい。これは決して怪しげな勧誘ではない。本学会は皆さんの経験・知見をもちろん欲している。他方、皆さんがいれば、今まで以上に全国の地方自治体へ恩返しができるし、皆さんの知的探究にも大いに貢献できると信じている。鉄は熱いうちに打て、だ。

 挨拶がうん蓄へと変貌を遂げてしまったが、我が国の自治体実務発展のため、皆様とともに、これから、もしくはこれからも歩んでいけたら、幸甚の限りである。